芽吹きの季節
3月は芽吹きの季節。 寒暖差の激しい日々が続きながらも、季節は確実に春に近づいている。
今回カペ・グリで取り上げる3人の作曲家は、ほとんど誰もが知っている名前だろうが、取り上げる作品はいずれも有名とは言えない。どれもかれらが20歳前後の若かりし頃に書いた作品だ。
オリジナル作としては2曲目のモーツァルト第6番協奏曲、先駆者の影響の中で模索しながら10代のシューベルトが書いた第5番交響曲、そして出版されたのは2番目だが、早くから書き始めて長いこと試行錯誤を重ねたベートーヴェンの第2番協奏曲。
これらのあちこちに、芽吹きが見られる。
整った形式のもとに、モーツァルトにしか書きえない展開や不協和音。 シューベルトならではの歌う旋律と、どこかへ連れていかれるような不意の転調。 持ち前の推進力と独自のアイディアを聴かせるベートーヴェン。
変ロ長調の豊かで躍動感ある響きのなかに、それらを見つけていただければと思う。 (伊藤理恵/音楽監督)
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